第3部:盗まれた情報の行方

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第3部:盗まれた情報の行方

①どんな情報が売られているか

そもそもなぜ業者が様々な方法を用いて、
個人情報を盗み出そうとするのでしょうか。

それは一言でいうと「お金になるから」です。

どれぐらいお金になるかというと、
情報の内容や数によって大きく違います。

盗まれた個人情報は通常ネット上の闇市場で販売されます。

個人情報の内容は、色々ありますが、
氏名、住所、年齢、性別を基本に、メールアドレス、
銀行口座、ネットサービスのアカウント情報、
税務情報などの付加価値が付けられて
販売されているケースが多くあります。

また、なかにはパスポートや身分証明書、
クレジットカードのスキャン画像データが
販売されているケースもあります。

中でも、クレジットカード情報は、
闇市場で最も多く取引されている商品の1つです。

高く売買されるものとしては、
銀行オンライン口座のログイン情報
医療・保険データがあります。

銀行のログイン情報の価格は、
口座の残高によって決まる傾向があるようです。

医療・保険データは近年、
非常に高く売買されるようになったと言われます。

関連ビジネスに呼び込んで、
儲けやすいということでしょう。

他にペイパルやアマゾン、LINE、ネットオークションなど
あらゆるアカウントのログイン情報が売られており、
むしろ盗まれた個人情報の中で販売対象にならない
ものの方が少ないと言えるでしょう。

簡単にいえば、あなたがネット上に打ち込んで
送った個人情報やログイン情報のすべてが
売買の対象になるということ。

中でも銀行のログイン情報や医療・保険データは
闇業者の間で人気があるので、
狙われやすいということ。

より一層セキュリティを強化する必要がありますね。

②ベネッセコーポレーションの事例

2014年7月、通信教育大手ベネッセコーポレーションの
個人情報漏洩が発覚しました。

漏洩件数は3504万件と、
国内では史上最大規模の漏洩事件と言われています。

発覚したきっかけは、ベネッセの顧客に、
ベネッセのみに登録した個人情報を使って
他社からダイレクトメールが届くようになり、
ベネッセから個人情報が漏洩しているのではないか?
という問い合わせが急増したこと。

流出した情報は、進研ゼミなどの顧客の情報であり、
子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日など。

この事件では、顧客の個人情報を売買する
「名簿業者」の存在が明らかになりました。

派遣社員のエンジニアである容疑者の男が
計15回に渡りベネッセから個人情報を持ち出して、
名簿業者に250万円で売った報じられました。

彼は不正競争防止法違反(営業秘密の複製、開示)の
罪に問われることとなりました。

名簿の販売自体は違法行為ではないものの、
ベネッセの情報を買った名簿業者にも
社会的非難が集まりました。

ベネッセは本事件の影響で大規模な顧客離れが起き、
同社は経営赤字に転落するなど、
経営に対する重大な打撃となりました。