2)脅迫罪、偽計業務妨害罪と3)不正アクセス禁止法

2)「殺す!」はすぐに脅迫罪成立!
(脅迫罪、偽計業務妨害罪)

また、誰かを威嚇したり脅したりしたら、
脅迫罪になる可能性があります。
「殺すぞ」は完全にアウトで、
例え匿名でもすぐに警察の捜査が入り摘発を受けます。

文言としては、次の言葉は脅迫罪に問われる可能性が高いでしょう。
「殺す」
「殴るぞ」
「痛い目にあわせてやる」
「夜道を歩けなくしてやる」
「神の審判は下った」
「地獄へ堕ちろ!」
「暴力団に顔が利くんだ」
「犯すぞ!」
「言いふらすぞ!」
「家に火を着けるぞ!」
「ペットを殺すぞ!」

さらに、
「爆弾をしかけた」
「命を保証しない」
などと場所を特定して投稿することによって
イベントの中止や学校が休みになるなどしたら、
偽計業務妨害罪」に問われます。

「偽計」とは人を欺くこと、
または人の錯誤・不知を利用することです。
メールを大量に送るなどして、
相手の業務に支障をきたした場合も
同様の罪に問われる可能性があります。

<事例>
海上保安部に電話を掛け,
「国籍不明の外国人が,江の島付近海域に不法入国した」
との虚偽の内容を伝達した。
海上保安庁は、当該海域周辺に巡視船艇・航空機の出動・捜索、
職員が当該海域周辺+江の島に出動・捜索した。

3)他人のアカウント内をのぞき見したら
不正アクセス禁止法違反!?

不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)の目的は、
電気通信回線を通じて行われる
不正アクセス行為の防止です。

目的を条文でいうと次のように長くなります。
「不正アクセス行為の禁止とともに、
その罰則及びその再発防止のための
都道府県公安委員会による援助措置等を定め、
電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る
犯罪防止及びアクセス制御機能により実現される
電気通信に関する秩序維持を図り、
もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること」(1条)。

簡単に言うと、
他人のアカウントに無断でログインしたら、
不正アクセス禁止法違反になり得ます。

処罰対象は故意犯(意図的に行う)であり、
過失犯は対象外。また、未遂犯も対象外です。

「不正アクセス行為」としては、次の3点が規定されています。

→他人のIDやパスワードを無断使用し不正アクセスする行為
→セキュリティホールを突いた直接侵入攻撃
→セキュリティホールを突いた間接侵入攻撃

さらに、
「IDやパスワードを不正に要求する行為」
(フィッシング行為)
も処罰の対象になっています。

事例1:<女優のFBのぞき見した男を起訴
長澤まさみさんら7人 東京地検>
女性芸能人の会員制交流サイト(SNS)などに
勝手にログインし、のぞき見したとして、
東京地検は6日、 不正アクセス禁止法違反の罪で、
長崎県大村市の会社員、金子大地容疑者(29)を起訴した。

起訴状などによると、平成26年8月~昨年11月、
238回に渡り、女優の長澤まさみさんら7人の
フェイスブック(FB)や
アップル社のクラウドサービス「アイクラウド」に
不正にアクセスしたとしている。

捜査関係者によると、
金子被告は名前や生年月日などを元に
パスワードを類推するなどして
FBなどの本人しか閲覧できないページに
勝手にログインしていたという。
(参考:産経ニュース http://news.livedoor.com/article/detail/11609866/

事例2:<中3生が不正アクセス!>
他人のショッピングサイトIDとパスワードを
不正に取得し、ログインしたとして、
不正アクセス禁止法違反容疑などで、
千葉県成田市の高校1年の男子生徒(16)が書類送検されました。

本人は容疑を認め、「将来ハッカーになりたかった」
と供述しているという。

送検容疑は中学3年だった2015年5~11月、
他人のID・パスワード12万件を不正に取得し、
大手ショッピングサイトにアクセスするなどした疑い。

生徒の中学の同級生だった高校1年の少年(15)も、
ショッピングサイトへ不正アクセスしたとして、
同容疑で書類送検された。

2人は取得したIDで、少なくとも携帯電話3台や
パソコン周辺機器など計9品(27万円相当)を購入したという。

参考:「不正アクセス行為の発生状況及び
アクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」
(総務省HP)http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu03_02000090.html