1)名誉毀損罪はすぐに逮捕される!?(名誉毀損罪、侮辱罪)

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比較的犯しやすいのが名誉毀損罪侮辱罪です。

誰でも誰かを批判したくなることがあるでしょう。

これが強い調子で怒りをぶつけるようになると危険です。

それがSNS上で特定多数に見られる中で、
特定できるだれかを誹謗中傷すると、
名誉毀損罪又は侮辱罪に問われる可能性があります。


名誉毀損罪と侮辱罪の違いは1つ。

名誉毀損罪は事実の摘示があり、侮辱罪はそれがないこと。

どちらも「公然」と行われることが条件。

公然」とは
不特定又は多数が認識しえる状態のことです。

分かりやすく言うと、
名誉毀損罪は批判する理由を示しているのに対して、
侮辱罪は単に「アホ」「バカ」「無能」などと言うこと。

一般的に通常の批判で、
罪に問われることはありませんが、
それが事実ではなかったり、
それが事実であっても、
人の社会的評価を低下させるような具体的な事実であれば、
成立する可能性があります。

免責されるのは以下の場合です。

・公共の利害に関する事実にかかわるものであること

・専ら公益を図る目的があること

・真実であると証明されるか、
真実であると信ずるについて相当の理由があること

この罪状の特徴は民事、
刑事の両方で罪が問われること。

つまり、警察に届けられて刑事事件になれば、
逮捕されて一生消えない前科者になるということです。

批判すること自体が悪いわけではありません。

しかし、不特定多数が見る可能性がある
SNS上で批判するときは、
内容が事実かどうかを確認することや、
批判することによって
相手が精神的又は金銭的に
大きな痛手を受けないかを考える必要があります。

インターネット上の名誉毀損、
誹謗中傷に関する相談は、
平成12年に1,884件だったものが、
平成20年に1万件突破し11,516件、
その後毎年1万件前後あります。

通常、「被害者」は訴える前に
金銭を含む何らかの要求をして、
それが拒否又は無視された場合に訴訟に発展します。

「加害者」は実際に訴えられると、
賠償金額が多額になる恐れと
弁護士を雇ったうえ長い争いになる不安感から、
訴訟になる前に解決しようとします。

ですから、多くの場合「示談」になるのですが、
一度「加害者」になってしまうと立場が弱いため、
思いもよらぬ大きな代償を払うことになるものです。

<事例>
●芸人中傷被害事件
2008-2009年、名誉毀損罪で
犯人19人が次々と検挙されました。

この事件は、1999年に起きた
女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人だと
2ちゃんねる掲示板ででっち上げられ、
個人への誹謗中傷、脅迫などが相次いだことを発端とする。

長期にわたって自身のブログなどで
汚名を晴らそうと努めるも中傷はやまず、
2008年8月、刑事告訴した。

●大学教授名誉棄損事件
20010年公判。参院選比例代表に
「たちあがれ日本」から立候補し落選した大学教授を
インターネット掲示板「2ちゃんねる」で、
計33回にわたって誹謗中傷する書き込みをしたとして
警視庁は名誉毀損の疑いで 大学4年生を逮捕

●作家誹謗中傷事件
千葉県警市川署は同県在住の
ノンフィクション作家の女性(40歳)を中傷する文章を
ネット掲示板に書き込んだとして、
大阪市の無職の女(45歳)を名誉棄損容疑で逮捕した。

報道によると、女は2009年11月1日、
ネット掲示板に、この作家について
「現在は風俗嬢。低脳ぶりを発揮中」
などという文章を書き込み、名誉を傷つけた疑い。
女は「知り合いに頼まれてやった」と容疑を認めているという。